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2021年ゴールデンウイーク後に起こった世界同時株安の真相

 

ゴールデンウイーク後に起きた世界同時株安について真相を考察します。

 

目次

 1. 世界同時株安

 2. 相場で言われている原因

 3. 本当の真相

 

1. 世界同時株安

まず相場でどういう反応が出たかを整理します。5/7とその後の安値の比較です。

・NYダウ    34777$ →→→ 33587$ -1190$ -3.4%
・ナスダック  13752pt →→→ 13031pt  ‐721pt -5.2%

・S&P500    4232Pt →→→ 4063pt  -169pt  -3.9%

日経平均   29357円 →→→ 27448円 -1909円 -6.5%

TOPIX      1933pt →→→ 1849pt  -84pt -4.3% 

・ユーロ50   4034pt →→→ 3946pt   -88pt -2.1%

・米国10年債(利回り)  1.57% →→→ 1.69%  +0.12%

・日本10年債(利回り)  0.08% →→→ 0.08%  変わらず

・米ドル円為替     108.60円 →→→ 109.67円 +1.07円 +0.9%

 

ナスダックと日本株米国債が比較的大きな動きをしました。

ナスダックと日本株はともにもともと変動幅が大きい指数ですね。よく振らされるものです。 米国債金利上昇も確かに起こっています。これは長期のインフレや金融緩和縮小を予見しているのでしょうか。

 

2. 相場で言われている原因

今回の下落は米国の4月のCPI上昇からくるインフレ懸念金利上昇。そこから連想される金融緩和の早期縮小懸念が原因と言われています。 セルインメイが起こった、悪いインフレだ、と言っているの記事もあります。

米国CPIは前年比+4.2%と市場予想の3.6%を上回りました。そのことから金利が上昇し、金融緩和の早期観測が連想されたことが下落を加速させたそうです。

 

3. 本当の真相

私は今回の下落の真相は、『相場の間違い』だと考えます。

①インフレは長期化するか。 ②早期の金融緩和緩和縮小にFRBは動くのか。

この2点を分解すれば答えは相場の過剰反応、または短期筋の揺さぶりとの結論が導きだせます。

①について。今回のインフレ上昇は供給側の問題です。需要はあるが生産が追い付いていないとのことです。ただ、これは長期化しません。 

なぜなら生産設備は健在だからです。戦争などで生産設備が破壊された場合、供給力が増えるまで時間がかかりますが、今回の要因はコロナによる人員や材料、流通の制限です。それは人為的に起こしているものですから回復は見込めます。

欧米ではワクチン接種も進んでいるので、経済再開も進んでいます。

需要が増大している半導体の不足もわかりやすい例かと思います。すでにTSMCが3年間で11兆円。サムスン電子が30年までに16兆円。インテルは2021年に2兆円の投資を表明しています。供給力は増大します。

また、ベース効果も忘れてはいけません。前年同期の2020年4月はどんな状況だったか思い出してみてください。 数値は高く出やすい時期です。これは6月まで注意が必要です。 しかし、こんなことは誰でも想像がつくことで相場が想定していないはずはないと思います。

今回ほどデマンドプルな良いインフレを表すものもないと思います。1年間の政策やコロナ対策によって、需要が回復していることがあって、危機対応のため供給を絞っていたことでギャップが生まれているのが正体だと思いますので悪いインフレは言い過ぎだと思います。

 

②について。今回のことでFRBが金融緩和の縮小を前倒しすることはありません。市場では2021~2022年の縮小との噂も出ていますが。

なぜならFRBの判断基準は「一定の期間で平均2%以上」です。これは2020年8月のFOMCで言及され、2020年9月のFOMCで導入されました。

また、ベース効果はFRBももちろんわかっていました。そのためCPI発表後に「一時的」と表明しているのです。

以上のことから、一時的な物価上昇でFRBは早期縮小を開始することはありません。彼らは今回のことも想定した上で利上げが2024年と考えています。

あと、そもそもFRBが基準にしているのはPCEコアデフレータです。CPIではありません。 これも周知の事実のはずなのに、相場が反応していることも「間違い」を起こしている一例だと思います。

PCEコアデフレータについては毎月の米国雇用統計の記事で取り上げています。

 

以上ことから、明らかな勘違い、もしくは作為的な市場の反応が見えてきますので、今回の下落に大きな意味はなく、相場が長期的に崩れるシナリオにはならないとの結論が導きだせます。

今回のCPIトレードは6月ごろまで注意が必要かもしれません。2020年の物価は6月まで下落していました。まぁこうやって警戒する人が出てくるので動揺は今回ほどにはならないと思いますが。

 

最後に補足で、物価以外のことについて。 世界の企業の業績は6割がコロナ前を回復してきているようです。 実力は着実に回復しています。ご安心を!!

 

【米国市況】株が3日続落、利回り上昇-CPIの大幅な伸びで - Bloomberg

セル・イン・メイは終了か 株安招いた「悪いインフレ」: 日本経済新聞 (nikkei.com)

米消費者物価指数、前月比で2009年以来の大幅な伸び-予想上回る - Bloomberg

世界の企業、底入れ鮮明: 日本経済新聞 (nikkei.com)

 

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オーバーシュートコミットメントに言及した記事

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オーバーシュートコミットメントを導入した記事

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FRBの議長声明で既に今回のことを想定したことがわかる記事。

 

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