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日銀 金融政策決定会合 結果まとめ(後編)(さ) より効果的で持続的な金融緩和を実施していくための点検

 

3月の世界的な市場変動を経て、中央銀行はどういう判断をするのか。

注目の金融政策決定会合の結果まとめです。 前後編になります。

日銀の点検結果を優しい言葉で述べます。

 

目次

 1.日銀 金融政策決定会合の結果

 2.イールドカーブコントロールの点検

 3.連続指値オペ制度

 4.貸出促進付利制度

 5.日銀が考える物価が上がらない理由

 6.まとめ(時間のない人はここだけでOK)

 

さーちゃん:0歳児。わからないことがいっぱい。冷静な女の子

はむすけ:私。証券営業マン。さーちゃんのパパ

 

 1.日銀 金融政策決定会合の結果

【2021/03/19 日経】日銀は19日の金融政策決定会合で、金融緩和の長期化を見据えた政策修正を決めた。上場投資信託ETF)購入は原則年6兆円の目安を削除した。株高局面は購入を見送り、市場の混乱時に積極的に買う姿勢を明確にした。買い入れ対象は東証株価指数TOPIX)連動型のみとする。将来のマイナス金利深掘りを可能にするため、金融機関に上乗せ金利を付ける制度もつくる。

 

はむすけ:日銀はいくつか手を打ってきたね。

さーちゃん:どんなものがあったの?
はむすけ:まず現行策で変わらなかったことは、イールドカーブコントロール(YCC)短期金利-0.1%、ETFREITの買入それぞれ年間12兆円と1800億円、CP・社債の買入は続けるよ。

さーちゃん:何か変化はあったの?

はむすけ:YCCは長期金利を±0.25%程度にすると明記、ETFの買入は対象がTOPIXに限定、目安6兆円は廃止。
さーちゃん:新しいものは何かあった?

はむすけ:新制度は2つ。貸付促進利府制度と連続指値オペ制度だね。

さーちゃん:ETFの買入の目安がなくなるのは緩和縮小じゃないの?
はむすけ:縮小とみることもできるけど、この買入の目的はリスクプレミアム(みんなが「株買うの怖いさー」って思う気持ち)の低下にあったから、現在の状況に合わせるように調整したって感じかな。

さーちゃん:つまり縮小? 
はむすけ:そうじゃないよ。導入時は相場がもっと弱気だったから「最低でもこれだけ買いますよ」って約束が必要だったのね。

さーちゃん:そのほうが安心できるわよね。

はむすけ:でも今は株価が3万円になってきていて、相場が安定している時の買入はインパクトが薄くなってきていたし、逆に買い続けると実体と離れるとか、出口が大変になるって、同じペースで買入を続けることのマイナスの反応が大きくなってきたから下落時の支えの効果を強調したよ。

さーちゃん:はじめと今では効果の出方に違いが出てたのね。

はむすけ:それに日経225やJPX日経400では一部の企業の保有率が高まりやすい副作用に対して、東証1部全銘柄対象のTOPIXに絞ることで偏りを弱めるよ。

さーちゃん:日銀が大株主になると、企業の監視が緩くなってしまうんじゃないの?
はむすけ:その懸念はスチュワードシップコードの受入表明をした機関投資家を通じて適切に処理しているよ。

さーちゃん:適切なのはわかるけど、スチュワードシップコードってなに?

はむすけ:ただ短期的な利益を稼ぐだけじゃなく、投資家は企業をより良くするように対話して中長期的な成長を助けましょう。って考え方だよ。 積極的に投資家として企業に関与する表明をしている業者にお願いをしているよ。

 

  2.イールドカーブコントロールの点検

さーちゃん:本丸の長短金利操作付き量的・質的金融緩和の点検はどうだったの?

はむすけ:よくフルで覚えてたね。 結論は「効果はあったけど、副作用が見えてきたよ」って感じだね。

さーちゃん:まず、YCCで金利をコントロールすることはできたの?

はむすけ:金利は金融政策以外の景気や政治など色々な影響で動くことは当たり前だけど。それでも-1%くらい低下、安定させる効果があったよ。

さーちゃん:肝心の物価への効果は?

はむすけ:2020 年第3四半期までの期間で、何にもしなかった場合(仮想)に比べて、実質GDPの水準で平均+0.9~+1.3%程度、需給ギャップで同+0.9~+1.3%ポイント程度、コアコア消費者物価の前年比で同+0.6~+0.7%ポイント程度、それぞれ高いという結果となってて、それだけの押し上げ効果があったと考えられるよ。

さーちゃん:でもマイナス金利での貸し出しなんて無いでしょ?

はむすけ:効果の波及は金利が低いから資金集めが捗ったのは3割強。株式や為替市場では5割強に影響があったよ。

さーちゃん:で、好ましくない影響はどんなことがあったの?

はむすけ:3つあったよ。1つ目はYCCの効果は短中期金利にはしっかり影響があったけど、長期になるほど効果が薄くなること、2つ目は長期金利の極端な低下は悪影響のほうが大きいこと。3つ目はこれ以上の金利引き下げは金融機関への悪影響から出来ないと思っている人が多いこと。

さーちゃん:限界を感じている人が多いのね。 ずばり副作用は?

はむすけ:これは2つ。1つ目は国債市場の機能が低下したこと。

さーちゃん:コントロールしているんだから仕方ないんじゃない?

はむすけ:それはあるけど、硬直するのは良くないよ。それで検証したら、0.5%くらいの幅があれば緩和を邪魔せずに市場機能も回復しそうだという事が分かったよ。

さーちゃん:だから0%±0.25%で幅を0.5%にしたのね。でもこれでどうなるの?

はむすけ:金融機関は今までは0.4%の幅しかなかったのが、0.5%に広がったから債券運用の利幅も広がったよ。それに管理するために新技「連続指値オペ制度」導入だよ。

さーちゃん:その狙いはわかるけど、結局幅が決まっているなら動きにくいような気もするけど。

はむすけ:もう1つは金融機関の心配。利ザヤが下がることで貸し出し姿勢が消極化したり、利益を上げようとリスク取引に走って、失敗して金融システムが痛む可能性がある。ということ。

さーちゃん:銀行がつぶれたら経済は悪くなってしまうわよね。

はむすけ:日銀としては政策以外にも、人口減少や競争など構造的な影響もあると言っているけど、特に地域金融機関がきつい状況が続くよ。と分析しているね。だから新制度「貸出促進付利制度」を作ったよ!

さーちゃん:日銀の責任も大きいでしょうに。

はむすけ:脇道にそれるけど、だから銀行の合併などをする場合に特別な支援策を作っているよね。せめてもの罪滅ぼしなのかな。

 

 3.連続指値オペ制度

さーちゃん:じゃあ新技について教えて、

はむすけ:まずは「連続指値オペ制度」!! 金利の大幅な上昇を止めるために編み出されたよ。

さーちゃん:普通の指値オペの連続版じゃないの!
はむすけ:そうともいうけど、こっちのほうが一日ごとにオペするより強そうじゃん! 「これ以上は行かせない!」って決意がわかりやすいでしょ^^
さーちゃん:そんなものなのかしら。金利の上昇を止めるために使うのね。

はむすけ:そうだね。金利上昇=単価下落だから、そうなると運用者は赤字を抱えることになるからね。それが底なしなら怖くて投資できないからね。

さーちゃん:本来そういうものだと思うけど、そこまでの政策を打っているのね。

はむすけ:それに金利が上がりすぎると緩和効果が弱まってしまうからね。必要な緩和効果を維持するためでもあるね。その証拠に金利低下には特に気を使っていないからね。

さーちゃん:そうか、金利が低下すれば勝手に緩和効果が高まるからね!

 4.貸出促進付利制度

はむすけ:次は「貸出推進付利制度」!!!

さーちゃん:はい、漢字多い、説明して~

はむすけ:一言で言うなら「貸出したらボーナス金利あげちゃう」

さーちゃん:なんかペ〇ペ〇とかのキャンペーンみたいね。詳しくは?
はむすけ:ある意味、使ってほしいところを援助する点は一緒かもね。ニンジンぶら下げます。的なね。 

はむすけ(飛ばしても構いません):マイナス金利の副作用を抑える制度は既にあります。「補完当座預金制度」です。日銀当座預金を基礎残高、マクロ加算残高、政策金利残高の3つの階層(三層構造)に分け、大部分を占める基礎残高(元々あった残高)とマクロ加算残高には、それぞれ+0.1%およびゼロ%の金利を適用し、▲0.1%のマイナス金利政策金利残高にのみ適用することで金融機関への影響を緩和していました。ここもマクロ加算残高を増やして、政策金利残高を減らす調整が行われます。今回の「貸付促進付利制度」はこれに加えて導入されます。

さーちゃん:どういう制度なの?

はむすけ:Ⅰ.新型コロナ対応特別オペ(自前)0.2%、Ⅱ.新型コロナ対応特別オペ(自前以外)0.1%、Ⅲ.貸出対象オペと被災地オペ 0%の金利を払うよ。 さらに!今なら増えた残高の2倍の金額分をマクロ加算残高にしてマイナス金利を回避できちゃう!!!

さーちゃん:つまりコロナとかで貸し出したら銀行の実入りが3つのルートから増えるのね。 貸出推進付利制度と補完当座預金制度、それに貸出先からの利子ね。

はむすけ:そういうこと。これでマイナス金利で銀行の収益性が下がることを和らげて、お金も循環させようって魂胆だね。 マイナス金利を拡大しても”貸し出しに回す限りは”悪影響は避けられるよ。深堀も可能になるね。

さーちゃん:貸したいのはいいけど、借りたい人がいるかって話よね。

はむすけ:それは痛いところを、需要創出は財政政策の領分だからね。今なら脱炭素とDX(デジタルトランスフォーメーション)は重点的に行っているね。

 

 5.日銀が考える物価が上がらない理由

さーちゃん:でも、これだけやっても物価が2%には遠いよね。2021年2月でコアCPIは-0.4%(前年比)よ。コロナ前の2020年2月も+0.6%だし、 コロナ後だとしてもねぇ…

はむすけ:日銀が考える理由は3つ。①予想物価上昇率に関する複雑で粘着的な適合的期待形成のメカニズム、②弾力的な労働供給による賃金上昇の抑制、③企業の労働生産性向上によるコスト上昇圧力の吸収

さーちゃん:①がまず意味わからんしキモい -_-

はむすけ:ごもっとも。 デフレマインドが全然消えてませんよ。ってこと。

さーちゃん:あの「どーせ物価なんか上がりっこない」で有名なデフレマインドですね。

はむすけ:その通り。そんな人が大多数なら実際の経済も活性化しないし需要も生まれてこないよね。 今回の検証では現状の認識をアップデートして変わり始めた人は2割しかいなかった。あとの人は、どーせかわらん(粘着性)か気にしてない(無関心)かのどちらかか両方に囚われていたよ。
さーちゃん:はむすけの仕事で会うお客さまも同じような感じね。

はむすけ:そうだね。でも含み益を持てているお客さまの中には前向きな変化も生まれているよ。 僕の腕の見せ所だね。草の根運動だ。

さーちゃん:②はどういうこと?

はむすけ:”弾力的な”っていうのは女性や高齢者の労働参加が増えたことだよ。人手不足で雇用が増えたのはいいことなんだけど、こういう方々は賃金が低めになっているから、全体の賃金の押し下げに繋がってしまったということ。

さーちゃん:③の生産性向上とコストの吸収は?
はむすけ:これも人手不足を解消するために省力化や効率化をした結果、コストが下がったんだね。

さーちゃん:なんか頑張ったのに報われていない感じね。

はむすけ:同一賃金やベアなどが進んで労働者が手にする分も増えればいいのにね。というか、それが経済の拡大に寄与するんだけど、まだ人件費=コストの考え方が大きいね。人件費=消費力=次の売上。でもあるんだけどね。
さーちゃん:はむすけのとこは給料上がりそうじゃないのね・・・

 6.まとめ

さーちゃん:今回は長いね!
はむすけ:元も子もないこと言わないでよT-T

さーちゃん:まとめてあげるわ。①YCC金利±0.25% ②ETF買入目安撤廃、TOPIXのみ ③新技2つ追加ね。
はむすけ:そゆこと。 会見などでも質問の多かった、YCCは限界論や金融機関への悪影響、ETF買い入れの効果に対応したね。

さーちゃん:それに物価が上がらない理由も検証したね。

はむすけ:デフレマインドの転換には時間がかかるね。”日本の明るい未来”がイメージできれば前進するんだけどね。

さーちゃん:まぁはむすけに出来ることは、変わっている状況を伝えていくことね。

はむすけ:それに経済的安心は大事だから、きちんと投資を根付かせることだね。投資と投機が同じものと思っている人が多いからね。 やっと高校に投資の授業が入るみたいだし、教壇に立ってみたいな。

さーちゃん:そんな日のために、しっかり知識をアップデートしておかないとね。

はむすけ:長くなりましたがありがとうございました。

 

日銀、ETF購入「年6兆円」目安削除 決定会合: 日本経済新聞

日銀総裁の会見要旨: 日本経済新聞

ホーム : 日本銀行 Bank of Japan (boj.or.jp)

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