【2022/06/16 日経】米連邦準備理事会(FRB)は15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で通常の3倍となる0.75%の利上げを決めた。上げ幅は1994年11月以来、27年7カ月ぶりの大きさ。金融緩和の縮小を始めてからもインフレの加速がとまらず、事前に示唆した利上げペースを上回る強硬策に出た。
短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.50~1.75%に引き上げる。同時に発表したFOMCの参加者による2022年末時点での政策金利の見通しは3.4%。残り4回の会合でさらに1.75%の引き上げが必要となる。23年末の見通しは3.8%で、これが今回の利上げの「到達点」となる想定だ。24年末には物価上昇が落ち着き、3.4%に利下げする予想になっている。
目次
1. 利上げペース
2. 資産縮小ペース
3. 経済見通し
4. まとめ
5. おまけ ECB、日銀、BOE、スイス中銀
さーちゃん:1歳児。わからないことがいっぱい。冷静な女の子
はむすけ:私。証券営業マン。さーちゃんのパパ
1. 利上げペース
はむすけ:直前に0.75%利上げが噂された6月FOMCの結果を分析するよ。
さーちゃん:+0.75%の利上げは27年ぶりのようね。
はむすけ:6/10発表の5月CPIが40年ぶりの上昇幅だったことから、利上げ幅を大きくしたようだね。
さーちゃん:ついでに経済見通しにも変化があったわね。
はむすけ:FF金利の見通し(中央値)は
2022年は3.4%、2023年は3.8%、2024年も3.4%、長期は2.5%だよ。
さーちゃん:前回のFF金利の見通しは
2022年は1.9%、2023年は2.8%、2024年も2.8%、長期は2.4%だったわね。
はむすけ:今年の年末が1.5倍になったね。
さーちゃん:利上げは2023年までで、2024年には利上げが示唆されているね。
はむすけ:目先の急激な引き締めの印象を和らげるために、2024年に利下げを示唆したのかな。
さーちゃん:それよりこの2年間で、引き締めまくって2024年には経済自体が弱っている予想なんじゃないの?
はむすけ:怖いこと言わないでよ。
2. 資産縮小ペース
はむすけ:こちらは特に発表はありませんでした。予定通り資産縮小(QT)は6月から開始。6~8月は475億ドル、9月から950億ドルです。
3. 経済見通し
はむすけ:経済見通しもGDP成長率が鈍化、コアPCEと失業率は上昇だったよ。
さーちゃん:景気悪くなって、失業率も上がっているけど、インフレは治まってないじゃない。
はむすけ:さーちゃん 言い方が悪いよ。FRBだって頑張っているんだよ!
さーちゃん:会見では「現時点ではFRBがコントロールできない要因に左右される可能性の方がはるかに大きい」 とも言ってるじゃない。
はむすけ:その通りだよね。中央銀行が万能ではないからね。自分たちの能力の限界を示しはじめたね。「金融条件の引き締めは需要を抑制する見通し」これも需要を減らすけど、供給を増やす効果は低いと言っているものね。
さーちゃん:具体的な見通しはどうなったの?
はむすけ:コアPCEは今回の2022年5月では
2022年 4.3%、2023年 2.7%、2024年 2.3%と微量の上方修正
さーちゃん:コアPCEは2022年3月時点では
2022年 4.1%、2023年 2.6%、2024年 2.3%だったわね。
はむすけ:GDP成長率は2回連続で下方修正されたよ(カッコ内は3月時点)
2022年 +1.7%(+2.8%) 2023年 +1.7%(+2.2%) 2024年 +1.9%(+2.0%)長期 +1.8%(+1.8%)
さーちゃん:今年と来年がかなり減っているね。特に米国の潜在成長率2%を下回っているわ。
はむすけ:失業率の見通しは若干の悪化(カッコ内は3月時点)
2022年 3.7%(3.5%) 2023年 3.9%(3.5%) 2024年 4.1%(3.6%)長期 4.0%(4.0%)
さーちゃん:やっぱり景気悪くなっているじゃない。
はむすけ:まぁそうだよね。そもそも景気いいと物価下がらないからね。
4. まとめ
はむすけ:利上げペースを加速してきました! 次回も0.75%十分あります。
さーちゃん:5月FOMCでは「物価はピークアウトしてきた可能性あり」って言ってたのに。
はむすけ:わかるわ~。数字出来てないと希望的観測が増えるよね。
さーちゃん:はむすけと同じだったら仕事できない社員パターンじゃない!
はむすけ:! パパだって頑張っているんだよー
さーちゃん:結果で示しなさいよ! でも、その論法で行くとFRBもミスっている可能性あるわね。
はむすけ:そうだね。まずは明確に物価が下落トレンドに入ることを確認するまで油断しないほうがいいね。 利上げペースやQT加速もあり得るよ。
さーちゃん:それに会見では
「労働市場は非常にタイトで、インフレ率が高すぎることは明白」「高インフレリスクには非常に注意を払っており、インフレ率引き下げに強くコミット」「インフレを抑制しつつ低失業率を維持するのは容易でない。失業率が4.1%に上昇しても、歴史的に見てまだ低いレベル」「FRBが犯しうる最悪の過ちはインフレ低下に失敗すること」 このへんのコメント気になるんだけど。
はむすけ:率直に言って、インフレ退治が最優先。景気悪くして需要を減らして物価を下げる、と言っているようにしか聞こえないね。 その時はもちろん株式市場も下落が避けされないだろうね。
さーちゃん:このままだと、「経済と株価をぶち壊します」ってことね。
はむすけ:より守備的な運用が求められるだろうね。ディフェンシブ銘柄や債券もいいかもね。
さーちゃん:まだ金利上がるのに債券いいの?
はむすけ:数年後には景気悪くなって利下げしているから、そこまで持ちこたえれば減ってないでしょ。株式は下落してるだろうし。
さーちゃん:嵐が過ぎるまでは避難ね。
5. おまけ ECB,日銀、スイス中銀
はむすけ:ほかの中央銀行の動きもおさらい。
さーちゃん:ECBは次回の7月会合で+0.25%の利上げが予定されてます。
はむすけ:日銀は安定の現状維持。
さーちゃん:BOEは5会合連続の利上げ。+0.25%で1.25%に。
はむすけ:スイス中銀も+0.5%で政策金利-0.25%に。15年ぶり
さーちゃん:日本以外は利上げゾーンに完全に入ってきたわね。
はむすけ:中央銀行とインフレの戦いがまた始まったね。
米0.75%利上げ 27年ぶり FRB、インフレ抑制急ぐ: 日本経済新聞 (nikkei.com)
UPDATE 2-〔情報BOX〕パウエル米FRB議長の会見要旨 | ロイター (reuters.com)
fomcprojtabl20220615.pdf (federalreserve.gov) (FRB経済見通し)
CMEの FedWatch ツール: FOMCへカウントダウン (cmegroup.com)
欧州中銀、11年ぶり利上げ 7月0.25%: 日本経済新聞 (nikkei.com)
スイス中銀0.5%利上げ 英、5会合連続上げ: 日本経済新聞 (nikkei.com)
k220617a.pdf (boj.or.jp)(日銀 6/17当面の金融政策運営について)
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