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日銀 金融政策決定会合と展望レポート 2023/04/28 初植田総裁

 

植田新総裁が就任されて初めての金融政策決定会合がおこなわれました。

本記事では決定の内容や会見を見て、植田総裁が考えていることを正確に捉えたいと思います。

その上で私の意見は、世間が期待しているような出口や正常化ありきの運営可能性は少なく、緩和的な政策が続く。場合によっては強化もあり得ると考えます。その判断はデータ次第であることを強調しておきたいと思います。

では、はじめます。

 

目次

1. 決定会合の結果

2. 展望レポート

3. 多角的レビュー

4. まとめ

 

1. 決定会合の結果

まず、YCC、ETFJ-REIT社債等の買入は現状維持。

次に、新しく「多角的レビュー」の実施が決まりました。これについては後述します。

最後に、一部では「フォワドガイダンスを削除」と報道されていますが、これは正しくないというのが私の意見です。

詳しく申しますと、会見で植田総裁は「コロナ感染症に紐づけた書き方になっていた、整理していい時期にきているという事でカットした」「新たに一番最初に『金融緩和を粘り強く続ける』という文言を入れて、その中で読み込む」と発言されており、文章の表現の方法を変更しただけと見るべきではないでしょうか。

 

また、『賃金の上昇を伴う形で、2%の「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現することを目指していく』とありますが、賃金に介入するという意味ではなく(それは各企業の決定事項であり、中銀が口を出すものでは無い)、従来から目指しているデマンドプルでの持続的な物価2%上昇を補完する書き方であると解釈するものです。

それは『2%の物価安定の目標』だけの表現では、現在のようにコストプッシュであってもインフレ率2%になっているので目標は達成したと勘違いする余地があるためと考えます。 

 

2. 展望レポート

注目点は赤丸で示しています、消費者物価指数の見通しのところです。

2024年度は +2.0%。 2025年度は +1.6%。

経済・物価情勢の展望 2023/04/28

会見で植田総裁は「足元のインフレ率はかなり高いところにございます。(中略)その後ははっきりと低下に転じて今年度の後半には2%を下回るところに行く。(中略)下がっていったあと反転してまた上がってくるというところについては、(中略)不確実性が高い」「もう少し辛抱して金融緩和を続けたいのが正直な気持ち」と発言しています。

植田総裁のお考えでは、賃金や企業収益の上昇を伴う好循環でデマンドプルインフレを達成することがゴールであり、その時が政策変更のタイミングを読み解くことができま

す。 

会見でも「1年から1年半のうちに正常化が始まる可能性もゼロではない。(中略)一方でどんどん後ろズレしていくという可能性もゼロではない。2年後3年後4年後」と発言していて、好循環が不足している場合は任期中でも出口や正常化に踏み切ることは無さそうです。 あくまでデータ次第。

3. 多角的レビュー

新しく決まったレビューについては箇条書きにポイントをまとめます。

・1年から1年半で、過去25年の非伝統的政策の効果を検証する。

・1年から1年半の期間の根拠は、自身の任期5年の後半では結果を活用したいから。

・検証方法は、内部の精査はもちろん、外部の専門家や意見も取り入れる想定。まだ詳

細は詰まっていない。

・発表は途中でも、発表したほうが効果的と判断したら随時行う。

・問題認識として、過去の政策はある程度効果はあったが、十分ではなかった。なぜか。

・25年というのは、デフレに陥ってからの政策を検証するための期間設定。

・あえて「レビュー」とした。今までの「検証」などと区別するため。

・区別したいのは、レビューが現時点の政策と結びつくことを防ぐため、目的は長期的な非伝統的金融政策の効果をはかること。

・レビューと毎回の金融政策決定はリンクしない。短期の検証は決定会合で行う。

以上のことから、世界でも例をみないデフレの長期化と、非伝統的金融政策の25年を改めて検証して効果を見定めましょう。それで今後の政策に活かしていきましょう。という。学者的な「効果測定」の政策が強い「レビュー」になると思います。

個人的には結果が楽しみです。私も経済学部卒ですが、経済学は現実に即していない部分もある学問ですので。

4. まとめ

植田総裁の初めての金融政策決定会合が終わりました。

この方は「黒田総裁の次だから」とか「金融緩和の出口を担う」とか関係なしに、データから必要なことを検証する学者肌なお考えをお持ちだと感じます。

会見は緊張されていたのが伝わってきました。会見はお得意ではないのかも知れませ

ん。ただ黒田前総裁のような自信満々な態度とは違っていますが、どちらも真剣だと思います。

特に共通している日本経済の認識としては「日本を持続的なインフレ経済にするのは簡単ではない」「将来のためにもデマンドプルインフレ2%に持っていく必要性がある」ということかと思います。

従来日銀の政策(黒田総裁以前)は、インフレを過度に恐れるあまり、デフレの問題点を過小評価していました。その結果が25年の長期的デフレ。失われた30年です。

そこに引き続き危機意識をもっている植田総裁の就任は日本にとって良いと考えます。

以上のことから、植田総裁に変わったからと言って金融緩和の大幅な修正は期待しづらいと考えるのが結論です。

あなたはどうおもいましたか?

 

 

 

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2023/k230428a.pdf (4/28決定内容)

https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2023/k230310a.pdf (3/10前回決定内容)

植田日銀始動、25年緩和を検証 大規模緩和は維持 - 日本経済新聞

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor2304a.pdf (4/28経済・物価情勢の展望)

総裁定例記者会見(2023年4月28日) - YouTube

 

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