米中貿易摩擦　第一段階合意 - 証券営業マンのハナウタblog

［日経新聞　2019/12/15・14］米国は15日に予定していたスマートフォンなどが対象の対中制裁関税「第4弾」の残り1600億ドル分の発動を見送り、9月発動分（1200億ドル分）の関税率も15%から7.5%に半減する。一方、第1～3弾（2500億ドル分）の25%は維持する。

合意文書への署名時期も、米通商代表部（USTR）のライトハイザー代表は「1月の第1週を目指す」と主張するが、中国側は「法律の審査、翻訳などが終わってから決める」としただけだ。

合意内容は米国の発表によると中国が農産品やサービスなど対米輸入を今後2年間で計2000億ドル（約22兆円）増やす。農産品は貿易戦争が始まる前の2倍超の水準となる年400億～500億ドルに引き上げると約束。知的財産権の保護や金融サービス市場の開放なども盛り込んだ。技術移転では「中国が外国企業への強要をやめることで貿易協定として初めて合意した」という。中国が競争的な通貨切り下げを自制し、通貨政策の透明性を高める為替条項も採り入れた。

【追記】

［ブルームバーグ　2019/12/15］中国財政省は15日、米国からの特定の輸入品への追加関税を一時停止すると発表した。声明によると、中国は米国からの自動車ならびに自動車部品への関税実施も保留する。

【追記2】

［日経新聞　2019/12/15］中国国務院（政府）は15日、同日から米国製品を対象にかける予定だった追加関税の発動を当面は見合わせると発表した。木材や織物など計3361品目を対象に12月15日から5%か10%の追加関税をかけると決めていた。米国製の車や車部品を対象に、最大25%の追加関税を復活する予定だったが、これも当面は見合わせる。

さて、今回の合意によって貿易関税は以下のように変化しました。

［米国🇺🇸］名目GDP 20兆4940億ドル

対中輸入 5500億ドル

第1弾 340億ドル、第2弾 160億ドル、第3弾 2000億ドル、第4弾 3000億ドル。

第3弾までの2500億ドル分は25%に引き上げ済。9月に1500億ドル分に10%。

残りの1500億ドル分は12月に引き上げ予定。←ここが変化

UPDATE!!　

残りの1500億ドル分は発動見送り。加えて9月発動済の1500億ドル分についても15％から7.5%に軽減されます。

［中国🇨🇳］名目GDP 13兆4074億ドル

対米輸入 1500億ドル

第1弾 340億ドル、第2弾 160億ドル、第3弾 600億ドル、第4弾 400億ドル。

既に1500億ドル分に25%の引き上げ済。さらに二重で750億ドル分に5〜10%上乗せを2019年9月一部実行済。12月にさらに行う予定です。

UPDATE!

今後+2000億ドルの輸入増

12月実施分の発動見送り

以前の記事で関税の一層の上乗せや通貨、内需拡大策への要求があると述べましたが、関税上乗せは外れましたね。　しかし、米国品を2000億ドル売り込み、知的財産保護や金融サービスの拡大と為替の透明性対策を合意させたとのことで、米国は着実に中国に要求をのませていると見えます。思っていたより米国の姿勢が軟化するのが早かったように思いますが。

中国はこれらについて知的財産、金融サービス、為替については同意しているようです。具体策に乏しいという指摘がありますが、前進に変わりはないと思います。

特にもともと1500億ドル規模の中国の対米輸入に、2000億ドル追加というのは倍以上の規模になるということなのでインパクト大きいです。

中国にもの・サービスを買ってもらいたい米国と、内需を拡大して経済安定と国際的地位の向上を目指す中国の目線は一致しているので、ここからは対立ではなく合意形成に向かっていくのかも知れません。

いずれにせよ、米中貿易摩擦で世界の経済破綻を煽るのは無理が出てくると思います。それによって恩恵のあるものを見落とさないようにしてほしいです。

※9月発動分が15％になっていたのをトレース出来ておらず合わせて補足させていただきます。

※中国の反応を追加しました。2019/12/15　15:14

※さらに中国の反応を追加しました。2019/12/16　22:37

日経新聞　

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53378850U9A211C1MM8000/

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53362910U9A211C1000000/?n_cid=DSREA001

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53383230V11C19A2FF8000/

中国の報復について（ジェトロ）